第3週
今日はバス旅行で7:45集合。超眠かったけど何とか6:50頃起きた。皆な週末旅行で疲れていたらしく、たった今起こされてやって来たという学生が何人もいた。
02/Aug/99 (Mon) 晴
バスに揺られてStratford upon Avonへ。ここはかの有名なWilliam Shakespeareの生地だ。夏目漱石や太宰治など、かつての日本の文学者達はShakespeareを「沙翁」と呼んでいたので、それに習って自分もそう呼ぶことにする。沙翁の諸作品は昔からどれも大好きで、この地は滞英中に是非訪れたかっただけにこのバス旅行は渡りに舟だった。
Shakespeare's Birthplace
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街に到着して早速沙翁の生家を訪れ、まずは生家に隣接している展示館に入った。展示室の入口の壁には携帯電話の絵の上に×印がしてあるポスターが貼ってあり、添書きに "Visitors are asked to 'Silence that dreadful bell !' (Othello, ActU, Scene3)" と書いてあった。入館者への注意に沙翁の作品中の表現を引用するというセンスが実に英国らしい。
数ある展示の中に彼の洗礼の記録簿があった。英文学者の中には彼の実在を疑う人もいるらしいが、これは動かぬ証拠ではないだろうか。あ、でもここで現実に洗礼を受けたShakespeareと実際に作品を書いた人間が別人だったという線は有り得る。これだけ祭り上げられている沙翁が実は人違いされていて、本人は読み書きもできない一職人だったとしたら結構笑える。
生家は400年以上前に建てられた木造建築である。歩く度にミシミシと揺れ、歴史を感じさせる。2階の窓からは当地の景色や街並みが良く見え、沙翁もここからあの丘陵を眺めていたのだろうか、幼少時代をどのように過ごしていたのだろうか、と思いを馳せる。恐らくはここで人生の喜びと共に深い哀しみも味わったに違いない。そのような体験がなければ、あのように人生の機微を描き切る事はできなかっただろう。そのような動機がなければ、あのように人生の不可解を作品に投じようとはしなかっただろう。
展示館の売店でMacbethのペーパーバックを買い求めた。本の中に沙翁の生地で購入した事を証明する"This book was purchased at Shakespeare's Birthplace."という証紙が添えられていた。これは良い記念になる。
Holy Trinity Church
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次に彼が埋葬されているHoly Trinity教会を訪れる。最初は内陣中央に安置してある巨物が墓かと思ったが、実はそれは単なる祭壇で、彼の墓はその左下の床にあった。今なお英国のみならず世界中の読者を魅了してやまない沙翁の文学は、この小さな街を原点にしてここから広がっていったのかと思うと感慨深い。彼はここで安らかに眠っているのだろうか? それとも相も変わらぬ人間模様を皮肉を込めた眼差しで見詰めているのだろうか?
Anne Hathaway's Cottage
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続いてバスは沙翁の妻であるAnne Hathawayの実家に10分だけ立ち寄り、慌ただしく次の目的地であるOxfordに向かった。この実家の側を流れている小川には、数羽の鴨が何の警戒心も抱かず優雅に泳いでいた。
Oxfordでは2時間半の自由行動。こちらもCambridge大学と同様、多数のCollegeが街の中に散在している。Oxford大学は人文社会科学の中心地であり、一方Cambridge大学は自然科学分野の伝統を誇る。日本でいえば東大と京大の関係に似てるかも。
University of Oxford
まずは"Alice in Wonderland"(不思議の国のアリス)を書いたLewis Carollが数学講師を務めていたChrist Church Collegeへ向かう。16世紀初頭に建てられたというHallに入ると、テーブルの上には既に晩餐会の準備がなされていた。壁を見渡すと全面にわたって同College関係者の肖像画がびっしりと並んでいる。その中の一つにLewis Carollの肖像画もあったらしいのだが、この時は気付かなかった。
Christ Church College
どうやらOxfordのCollegeはCambridgeと違って芝生よりも砂利敷きを好むらしく、また建物の壁にも黄土色が多用されているので、緑豊かなCambridgeのキャンパスとは明らかに異なる印象を受ける。これはこれで落ち着いた雰囲気を醸し出していて素晴らしい。以前見たNHKのLewis Caroll特集の中で「時が止まったようなOxford大学で執筆に没頭した」という表現があったのを覚えているが、確かにCambridgeよりもOxfordの方が時間停止感がある。Oxfordが静、Cambridgeが動というイメージ。
続いてSt.Mary教会に向かった。ここには高い高い展望台があり、一人がやっと通れるほど狭いらせん階段を、一体どこまで続くんだというぐらい果てしなく上って行く。当然対面交通はできないので、上に向かって何度も"Excuse me!"と叫び、降りてくる人を牽制しながら上った。高いだけに見晴らしは最高。展望台の回廊は狭いが四方に行けるようになっていて、ぐるっと回るとOxfordの全貌が見渡せる。石造りの手すりが陽に暖められていて気持ち良く、思わず頬ずりしてしまった(笑)
St.Mary's Church
Broad Streetというその名の通り広い道沿いに、皇太子妃雅子さまが留学されていたBalliol Collegeがある。入場料を取られるが"Student Free"と書いてあったので国際学生証を見せたところ、「タダになるのはOxfordの学生だけだよ」と云われてしまった。
Balliol College
そこへ今回のバス旅行に同行していたチューターのMattとPeteがやって来たので、「ここにJapanese Princess Masakoが留学していた」と説明してあげたら興味深そうだった。彼らも「学生無料」という看板に気付いたらしく、タダで入ろうとしていたので「Oxford大生だけらしいよ」と教えたら、Mattはニヤッと笑いながら口に指を当てて「シーッ」と云った。なるほど、確かに彼らだったら何も云わなければOxfordの学生で通るかもしれない。でも結局誰も中には入らなかった。
その後"Sainsbury's"というスーパーで夕食を買い、バスに戻った。1リットル£0.21という格安ぶりに惹かれてオレンジジュースを買ったが、安かろう悪かろうの典型!で、あまりのまずさに一口飲んでやめた。こんなまずいジュースをスーパーに平気で売ってるのは犯罪じゃないの!?と云いたくなるほど。やはり英国では迷ったら水を買うのが無難。
帰りはバスに揺られる事2時間。窓外の景色は良かった。Pembroke Collegeに帰還後、疲れていたが明日までの課題を仕上げた。明日はTourist Informationに行ってDublinの宿を予約しよう。
今日は授業が9:00からなので起きるのがつらい。昼食後、街に出て"The Clarks Shop"という靴屋さんで実用兼自分へのお土産用として靴を買った。もともと£50の靴が夏のセールで£25になっており、更にレジで£20にしてくれた。かなり得した気分(^-^)
03/Aug/99 (Tue) 曇ときどき雨
郵便局に行った後Tourist Informationに行ってDublinの宿を予約できるか尋ねたが、あいにくできないとの事。それから"Dillons"という書店で英英辞典を買い、仕上げは"Sainsbury's"で格安の水を買って帰って来た。色々歩き回って疲れた・・・
帰ってからL6(Pembroke Collegeの事務所みたいな部屋)に行き、チューターのJodieにDublinの宿を探してもらうようお願いした。
夕食後、部屋で今週末のIrelandでの計画を練った。Irelandは遺跡の多い国で、その中でも比較的Dublinに近いNewgrangeとGlendaloughのどちらに行こうか散々迷ったが、結局Newgrangeに決めた。Glendaloughは交通の便が悪くDublinからのバスツアーを利用せざるを得ない事に気付いたので、どうせバスツアーで行くなら見どころの多いNewgrangeにしようと思ったのが理由の一つ。もう一つはNewgrangeの遺跡は冬至になると内部に陽が差し込むように造られているという点に惹かれたから。何を隠そう冬至は自分の誕生日なので、何か縁があるんじゃないかと思ったのだ。
授業は昼から。午前中、芝生の前のベンチに座ってLecture Courseの予習をしていたら、日本人チューターのIさんにQ大生向けのCambridge紹介ビデオへの出演を依頼された。Hさんの質問に答えるインタビュー形式。緊張した!
04/Aug/99 (Wed) 曇ときどき晴
午後のLanguage Courseの後半はChrisとチューターのPeteの引率でQueen's Collegeへ散策に出た。Pembrokeは1347年創立とはいえ、建物の多くはその後改修されている。一方Queen'sには創立当時の建物がそのまま残されており、400年・500年前に造られた学舎で今なお勉強できるとは驚きだ。
授業終了後、駅で週末旅行用にLondonのHeathrow空港までの鉄道往復券を買う。Heathrow空港はZone6(最も外側)にある。折角だからLondonでどこかに寄ろうと思い、乗り降り自由のTravelcardにしてもらった。往復で£31.00。それとDublinへの往復航空券のリコンファーム(予約確認)をした。
18:45から正装して3回目のDrink PartyとFormal Hall。芝生でのDrink Partyの時に何だか見覚えのある人がいるなと思ったら、何とQ大英語科のHorn先生だったので早速挨拶に行った。Horn先生には渡英する直前まで箱崎キャンパスで英語を教わっていた。先生がCambridge大学出身とは知っていたが、まさかこっちに帰って来ていたとは思わなかった。でも出身CollegeはPembrokeではなかったらしい(どこのCollegeかは忘れた)。
Formal Hallが終わってからJP(Junior Parlour)でチューター軍団主催(?)によるKaraoke Party。カラオケというよりクラブに近く、カクテルライトにDJブースまで用意するという凝りようで、常時30人ぐらいがダンスに興じた。スーツのまま踊ったので汗だくになったし声も嗄れたが、本当に楽しかった。カラオケといっても当然英語の曲ばかりだったが、BeatlesやYMCAは皆な歌えたので大いに盛り上がった。Chrisも持ち歌(?)を熱唱!
夜はチューター軍団の企画によるバーベキュー大会があるので、午前中の授業が終わってから食材を買いにY君と街に出掛けた。食べきれないんじゃないかというぐらい大量に買ったのに、2人で£8.50とは安い。英国では自炊するとかなり安く上がるのかも。
05/Aug/99 (Thu) 晴ときどき曇
午後のLecture Courseが終わった後、再び街に出て銀行で英ポンドをIR£(Irishポンド)に両替してもらう。手数料を£3も取られたが、ここで再両替する際は手数料がタダになるというクーポンをもらった。
19:30から公園でバーベキュー。だが人数が多過ぎてほとんど食べられなかった(泣) その代わり公園で見る夕焼けは見事! 太陽がちょうど雲の背後に隠れ、雲と雲の隙間から洩れ出る陽光がまるで後光のように広がり、更に地平線すれすれの雲は真っ赤に染まっていて何とも神々しかった。椅子に座ってぼーっとその景色に見とれていた。
文字通り戦場(笑)のようだったバーベキューを終えて22:00頃帰途についたが、今度は夜空の星が綺麗だった。ふと思えばこっちに来てから夜空を見上げたのは初めてかも知れない。日本と違ってこれだけ多くの星が見えているのに、北斗七星とカシオペヤ座しか分からないとは実に情けないし、勿体無い。来る前に星座の予習をしておくんだった。
今日の授業はLanguage Courseの全5クラス合同で、Cambridge郊外のGrantchesterへ徒歩で散策に出た。ひたすら遠い・・・が、見渡す限りのどかな田園風景で、あちこちに牛が放牧されている。たまにはこういう道を散歩するのも悪くないが、やっぱりひたすら遠い。
06/Aug/99 (Fri) 晴のち雨
レストラン兼オープンカフェのような所でしばらく休憩。Chrisは学生達と小瓶に蜂を閉じ込めて遊んでいる。Chrisにこれからどうするのかと尋ねたら、ここで休憩した後で近くの教会の見学に行き、パブで昼食を摂る予定だと云う。しかしChrisは相当のんびりしていて待てど暮らせど出発する気配はなく、時計を見たら既に13:00を過ぎている。本当は今日の授業は12:00に終わる筈で、終わったらすぐにLondonに発つ予定だったのにだいぶ狂ってしまった。
自分以外にもCollegeに帰りたがっている学生が何人かいたので、Chrisにやむなく先に帰ると伝える事にした。その時ChrisはCambridge紹介ビデオの撮影の手伝いでQ大生に日本語でインタビューをしており、それを横から聞いているとChrisは想像以上に日本語ができる事が初めて分かり、驚いた。今後はChrisが近くにいたら際どい日本語会話はできないぞと思った(苦笑)
(Ireland編に続きます)
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